―花乙女―


 時と場所は荒々しい中世前期の田舎地方。

 男女関係なく財を持ち、国の土地と財産をめぐって争っていた。

 隣国との小競り合いも絶えない群雄割拠の時代である。

 そこにあるアドラシオーの国は国王が一代で作り上げた、まさに千年王国を御旗に掲げた多くの小国の一つである。

 その頃、時の勢力は「唯一神」の存在を説き、教会は多くの民を抱え込んではいたが、その実、不思議の力や魔法を信じる者達がまだ多く、実際に土着の者にはまじないや呪いの力を信じる者が大半だった。

 教会の力が増していたころは、星見の術や、風読みの術などが悪魔の技と信じられ、術を受け継ぐ者達は迫害を受けざるを得なかった。