―まじないの剣―

 二人は城下を後にした。門をくぐり抜けるとき、さわやかな涼風が吹いた。

 山ではそうではなかった。

 凍えそうに寒い。指先から耳から鼻先まで、露出している箇所は間違えると、もげてしまってもわからないほど、感覚が麻痺している。

 アレキサンドラは山の中腹あたりに泉があると聞くと、持ってきていた鍋をひっくり返し、先に丸いものがついている金属製の棒でたたき、進むごとに盛大に鳴らした。


「なんだそれは」


 王子が心底、迷惑気に言うので彼女は端的に応えた。


「鍋ですが、獣よけに鳴らしているのです」


「ふむ、鍋とはそうやって使うものなのか?」


 まさか、とは思ったが、王子の性格は天然らしいので親切に対応しなければなるまい。