「君ねえ、ここは格段にマシだぞ。広場なんて吹きッさらしだ。ひともほとんどないしな」

 そうだろうなア、と思いつつ、彼女は別のことを尋ねてみる。


「お小遣いが欲しいのでしたら、王様に言っては?」


「オコヅカイ? ああ、あれか。広場で歌ってライラをかき鳴らすと振ってくる、父王の顔がついてるあれだな」


 あいにくと親父殿からは一枚たりとももらいたくない、との仰せである。


「それはどういったわけで?」


「話が長くなるから中に入れてくれ」