~天へ送る風~



「 がんばらなくっていいんだよ、普通にできることが多くなるように、心がければいい」


「それって、お父さんか、お母さんが言ったの?」


「ううん、お父さんはねえ、いつも仕事に追われていて、忙しかったの。でも、代わりの人に任せることができない人で、頑張りすぎて死んじゃった」


「そりゃあ、かわいそうだったな、おとうさん」


「ううん、本当は顔も覚えていないの。ときどき、うちはどうしてお父さんがいないんだろうって、夜中に眠れなくって、泣いちゃうけど……朝、目が覚めるとスッキリしてるよ。眼は冷やさなくちゃならないとしても」 


「気の毒に……たった十にも満たないのに、早く大人にならなきゃならなかったんだな」