~天へ送る風~


 後ろから声をかけられて、驚愕のあまりアレキサンドラの心音が異常を唱えはじめた。


「あっ、お水でもいかがですか? 栄養のいい泉の水ですよっ」


「気を遣うなリック、目立つだろう。いよいよか。偽宰相はどうしてる」


 その台詞の前半はリッキーへの忠告だ。

 リッキーは思わず手元の瓶に目をやった。

 自信がややなくなった。本当に、王子のライラ付きだけで売れるのか、と……


「どうもしない。いつも通りだよ。ふふふ」


 そこまで相方を無視した会話はどうかと思う。サフィール王子も自己のナルチシズムを打ち砕かれただけはある。

 判断力が研ぎ澄まされてきた。


「それより、あなた方に頼まれて欲しい事がある。やりようによってはこちらに被害は及ばない。悪い話ではないよ……」