“おさななじみ”に恋をする。上【上下完結】

「遥。
おまえ、暑くねぇの?」


電車から降りて、凌の家へ向かう途中。


セミがけたたましく鳴く中。


凌にまつわりつくあたしを、呆れたように凌が見下ろす。


「ん・・・」


さすがにちょっと恥ずかしくなって、
その上、暑さも手伝って、
腕を緩めたあたしに、


「遥は。
ほんと、昔っから、甘えん坊だよな?」


凌は“仕方ねぇなぁ”って顔で笑って、


「あー。
そうだ。
アイスでも買ってくか?」


凌は親指を立て、昔から通ってる赤い屋根がかわいいお店を指差した。