「・・・よかった。
凌に。
うそ。
・・・バレなくてよかった・・・」


文系校舎の入り口で、
別れた凌の背中を見送って、
あたしは小さく息を吐き出した。



・・・だって。


英語の辞書忘れたなんて、
うそ・・・だもん。


ただ。

ただ。


凌に会いたかった
・・・だけだもん。