“おさななじみ”に恋をする。上【上下完結】

手をうちわ代わりにして、ぬるい風を顔に送る春山に、


嫌味なくらいの低姿勢でお辞儀をし、


「どうぞ中にお入りください。
姫」


春山のあだ名を口にする。


「うむ。
苦しゅうない」


無表情でそう言ったくせに、

オレの横を通りすぎる時、

春山はオレの腹に、ボスッとこぶしを沈めた。