ほとんど王子にはいなされてばかりだけれど、最近、いじられると楽しくなってしまう危ない体質ができあがりつつある。 その、彼女がはっきりと、言ったのである。 『触っちゃ駄目だ王ー』 「こんな処にぽつねんと」 くりっと、飛び出た箇所をひねり、手に持ってみると、ぼろぼろと手の中でそれは崩れ、石くれのような、丸い球体が出てきた。王子は吸い寄せられるように珠を見つめている。 本人は泥まみれという外見ではなく、それが完璧な球体をしていることに感心しているようだ 「これがなんだと?」