すると、シャチの海に、大きな跳ね橋が。城内まで二人を招こうとする。罠か?

 だが、二人は背中を向ければ終わりだとわかっていた。


「マグヌムはちゃんとそこに?」


『ああ、あの大蛇のことかい? それならとっくに喰われちまっているだろう。地獄の主がそれ以外に側におく理由があるかい?』


「な――――――!」


 そこからが、本当の、勝負だった。入り口から特にながーい謁見の間にて。彼らはかなーり、端っこに位置されていた。


『メシアよ、いまこの地に降り立ったわけはなんであろう』


「わたくしどもはメシアでも何でもありません。地獄の主殿には足下にも届きませぬ。ただの人間……」