『だから、俺が、カエルの口に……って、ああ! 無理矢理言わそうとしてるなー!』
 真っ赤になったクリスチーネがすねまくる。二人はおかしくてたまらなかった。


「肩入れ、致しますよ。黄泉の姫君。わたくしたちも。約束いたしますよ」


『そいや、なんであんたにはわかっちまったんだろうな。俺の出生が』


「ご自分でその理由がわからないから、です。金銭感覚が全くないし、執着もない。そんな大金持ちみたいな、お嬢さんが地獄にいたら、十中八九、大家の姫君でしょう」


『なんだー、俺のにじみ出る気品、とかじゃないのなー』


 クリスチーネは空間に造り出した小さな鏡に己の姿を映し出して、いろいろポージングして、頭を傾げて腕組みをした。

 ようは、と一旦アレキサンドラは考えて、


「心映え、ですよ」


 と、ほほえんだ。


 これもまた、絶品。