「ああ、そうだよ。君は私の事なんて……父王ばかり観てアドラシオー国を観て、私など眼中になかったじゃないか」
「命令して下されば、わたくしは仮の妻にもなりましたでしょうに」
「それだけは、いやだったのだ。八年越しの想いだ。私にも守りたいものがある。プライドでなく取りすがるのではなく、対等の立場で君に相対したい。そう思うことは、王子として、おかしいのか?」
「おかしいです」
「なぜ泣く」
「そんなに想って下さっていらしたのに、おくびにも出さずにいたのですか。今更、そんなことを言われても、信じられません」
『うーん、上手くいってるようだね、二人とも。痴話げんか』



