~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>



「じゃあ、次の魔道とやらに向かうぞ」


「王子、あの方達は……」


「そこは亡者さ、上手くやってゆけるだろうさ」


 そのとき、どこからか優しく光り輝く天使の梯子が現れた。涙のマドンナと大岩砕きの赤子は、だれもが見たことのない、美しい長身の男女となって、天上を仰いだまま。


 天上から上の世界へと導きに来たのだ。

 二人が一歩、二歩と光芒に近づき、その場を後にしようとすると、地獄の猛火が更に勢いを増し、業火が再び周囲を焼いた。


 マドンナは振り返り、みんなの顔を見た。

 一同、力強く頷いていた。

 手を叩く者すら現れ始めた。

 くだんの男は彼女に肩に触れられ、顔を挙げた。二度と忘れる事はないだろう。

 彼女の優しい涙を。