王子は喉を震わせながら言った。
「このような奇跡を目の当たりにするとは。現では生きているだけで苦しみにあう者達があるというのに、私は涙一つ、微笑み一つこぼした覚えがないのだ」
『王子ー! 間違えてる! 感謝するのは神にじゃなくって、俺ー!』
クリスチーネは必死で自分の功績を認めさせようとした。
『だいたい、そこらの自称神さん達が人間達に与えるのは、ほんの少しのきっかけ! ほとんどは俺みたいなのが陰で支えてるんだ』
だーから、感謝崇拝するなら俺にしとけ、と焦り気味のクリスチーネ。
「だって、奇跡を起こしたのはあの二人だろ。おまえは岩の塔でふんぞり返ってただけじゃないか」



