「そのとき君を観た。少年達に混じって、一番年少で小柄で、いつも守られたり、ガードされたりすると、腹立たしそうにしてたっけ」
彼女は不思議そうな顔つきで王子を観た。
「それがどうだ、一年間を華として過ごす乙女として現れたのだから、衝撃だ。名前も初めてそのとき知った。アレキサンドラ」
今度は彼女が驚いた。幼い自分をそんな風につぶさに見られていたなんて。しかも直に。
「君はリッキーじゃなかったのか? 街道を朝から夕まで駆けずり回っていた」
「全く! 存じ上げません」
「確か……追いかけっこではいつも一番最後まで残っていた」
「存じません!」



