「ますます適任ではないか。おまえの偉容で彼らを引きつけ、言うことを聞かせて欲しいのだ。一人残らず真実への道へ、いや魔道だが、逃れさせてやりたいのだ」
なぜ、と、問う代わりに、主は言った。
「ものずきな奴だ。ここは地獄なのだぞ? 自分より力のある者にものを言う態度ではないな」
王子は一瞬のためらいもせず、階段から扉までバネを利用したつっかえ棒のような鍵を壊した。
彼も、もう、人以上の力を発揮するようになっていて、その分、怪物らしくなっていった。腕はもう、アレキサンドラに見せられないほど毛深くなってしまっていた。
「頼む! その後は再びここへ来ようが自由。しかし、地上にもおまえのような力のあるものを欲している者があるのだがな」



