牢の主は巨大で反抗的だったが、王子が話を持ちかけると、煙を吐いて、 「かえれ」 と、言った。 いわく、自分は牢の主だから、ここから離れたら主ではいられなくなる。表の世界でやってゆくには自分は不相応だ、と言うのである。 「いや」 と、王子は辛抱強く説得にあたった。 「ここのもの達はすでに牢を出た。しかし元が不幸なものばかりで救いがない。助けてやって欲しい」 そして王子は『自称天才、殺人希望者』を彼に預けるかたちで厄介払いした。