『この子はわたくしにまかせて、そして王子の愛する仲間達に』
光、宿り、その場にいた全員に透明の光の輪がもたらされ、それにつかまって亡者達はぐんぐん天上へと導かれていった。
「うっうっ、これでお別れなんだね、王子。やっと友だちができたと思ったのに。残念だじょ。でもあなたの負担にはならなくてすむね……それだけが救いだじょ」
彼の頭は少しサイズが小さくなってきたようだ。
「何を言う。これで君が救われるなら良かった。約束を違える事になるが。すまない」
「これが最後というのなら、どうか聞いておくれ。優しくも勇敢な王子」
大きな頭の亡者は、特別なにか言いたそうだった。
「生前、ぼくちんは神童、天才、髙知能児、およびダブルヘッドと呼ばれ、自分がそのようであるように振る舞ってきたじょ」
周囲に期待され、数々の研究対象として、あらゆる面で優遇されてきた。
「だけどそれは傲慢なだけだったじょ。人は僕を嫌い、冷たい奴とののしったじょ。ますますぼくちんは選民意識にとらわれ、孤立した環境に甘んじたじょ」
「少しだけ私も覚えがあるような」
ほんとうかい? 王子、王子に限ってそんなことが? アレキサンドラ初め、皆驚いた。
「ああ、本当だ」



