「共に地獄の底まで来てくれる女性なんて、君以外、他にだれがいる? 愛している。今、君を抱きしめても良いか」
「そのようなこと……乙女に尋ねるようなことではございません、わ」
肺から呼気が全て絞り出されるように抱きしめられてアレキサンドラは今度こそ、王子の胸の中で、歓喜に震えた。
……少し、いや、かなり苦しそうではあったが。
チュッと王子のこめかみにとある妖精がキスをした。やっと追いついたクリスチーネだ。
「うーん、真実の愛。説得力アルゼ。まずくはない。いや、美味い方だ。このタイプの味はいつであってもいいもんだなア」
わけもわからず、ぼんやりしている二人の間に、光が生まれた。
それは優しい声音で語りかけた。



