「……なぜなら、わたくしは愛される資格がない。自分ばかり可愛くて、自分の苦しみばかりを背負い込んで、あなたの本当の強さ、優しさに気づくことがなかった」
アレキサンドラはしきりと頭を振った。
「たとえ仮にしても、あなたの妻になどなれるわけがない。あなたにはもっとふさわしい方がいらっしゃるはずです」
王子は差し出された指輪をぎゅっと握った。
「馬鹿だな。本当にばかだな。私をなんだと思っている。私は怪力無双の鉄櫓(てつやぐら)でもしょってるように見えるのか?」
王子は微笑みを浮かべ、涙を流した。
メニュー