「君は、どう思うんだ、アレキサンドラ」
「王子の御心のままに……」
「心の中のそいつを自由にしてやれ。もはや君の分身ではない。あり得ない。心の悪魔を追い出すんだ」
「どうすれば、この執着から逃れられるのでしょう。今のわたくしには、可愛い我が子のように思えてしまう。手放せない。だれにも渡したくない。手放したら最後、いじめられはすまいか、腹を空かせてはおらぬか、と……心配になってしまう」
王子は地獄の底を蹴った。
完全に彼女が利用されているのに気が付いたのだ。
「いいかげんにしろ。それは君の赤ん坊じゃない。それに君には私の子供を産んでもらわなくては困る」



