遠ざかれば遠ざかるほど、あたりの様子がはっきりしてきたのだ。亡者どもは遠ざかってゆく光を追って、暗闇に堕ちてゆくのだ。


 そして、窓だ。

 螺旋に降る階段の道のりには微かに光る明かり取りのようなものがいくつもあった。その中にはさまざまな責め苦を負う者どもが泣いたり、すがってこようとしたり、怒りを表す者も見えた。

 頭が大きすぎる赤ん坊や、ぎりぎりと歯ぎしりをしながら泣く女や、牢につながれ身を焦がすほど何かを希求する者どもが、それぞれ自分の地獄の中で苦しんでいた。


「地下はここで終わりでしょうか……それとも」


 進んでいくと、底の方にはたぷたぷと満ちる海が広がっており、鉄さび臭い匂いから察して血の池なのだと思えた。