「な、なぜ。普通の男がそんなこと……私の色香に迷わないなんて!」
「そりゃ、君は子供だもの。どんなに小さくとも、本物の恋を知ってるレディには、失礼だったかな」
とたんに、女性は気が触れたように笑い出した。
笑いすぎて、自分でなぜ笑っているのかも忘れたようで、のろわしい運命を思い知り、両腕を交差して顔を覆って天を仰ぎ、ついには悲鳴のような声を出して噴水の水に飛び込んでしまった。
男を誘惑し損ねたシレーネは、悔しさに自ら命を絶つことがあるという。
霧は晴れ、新たな道が現れ始めた。
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