~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>



『……』


(それだけ? なんと言うこと。子を養うのにどれだけかかると思っているの。忍耐も、努力も、底をつきそうになっても続けられるのは深い愛情と想像力、行動力と工夫があらばこそ。この人達にそれがあるとは思えない)


『今から行いを良くして、せいぜい周囲に協力してもらうのね』


「そっか……じゃあ俺、親父になるんだ」


(あなたの子供じゃないけれど)


「そっか、じゃあ、結婚の日どりはいつがいいッスかね」


『まずは親兄弟に知らせて吉報を待ちなさい』


(もちろん、駄目だと思うけれど)


「そっか、俺、家族ができるんだ。もう、天涯孤独じゃ、なくなるんだ」
(えっ)
 振り返ると男は涙を流し、ガッツポーズをしている。