「マグヌス様ー! あんあん、聞いて下さいよー。ひどいんですよー」


『わかった。だれにも聞かれたくはないのだな?』 


 久々の羽根付きクリスチーネだった。

 二人は場所を移した。だれもいない森の木立の下へと。


『なに? 妻子持ちと夫持ちのカップルに未来があるかだと?』


『そーなんだよ……他にも隣の奥さんと仲良くしたいがどうしたらいいかとか……ばっきゃろー。この俺が二股や浮気なんぞの恋愛相談になんか使われてたまるかっつーの』


『内容を聞かせてはくれないだろうか』


 クリスチーネはまごまごしていたが、ついに依頼書を一部だけ見せた。

 本当はこんなことだれにも言えないんだけどな、といって……彼女はおそらく、自分一人で抱え込むのに疲れ果ててしまったのだろう。