『王子、奴めの失礼のかずかず、申し訳ない。だが……』


「みなまで言うな。たった一人、おなじ時間を共に過ごせる、大切な兄弟、なんだろう? ……なぜ泣く?」


『おお、王子。あ奴めがしでかしたこと、失言の数々、お許し下され。私めがそう、育ててしまったのです』


「律儀だな、おまえ」


 すん、と王子は鼻の下に拳を当てた。


「それだから、情が強い、というのだ。帰ってきた日には、その瞬間からおまえは執政官として自らの仕事に就くんだぞ」


「数々の御温情、ありがたき幸せ。この恩は決して、けして忘れませぬぞ」