「おーい、私を見くびってはおらぬかね。しかし、弟のために命をかけるとはのー。ますますおまえを手放したくはないものよ」


 そうして、宝石のようなステンドグラスの窓辺に立ち、たった一言、


「すぐに帰ってこい。でなければ共同執政者として無能と思われかねん。この私が、だぞ。約束できるな」


『お命じとあらば、必ず』


「私のわがままを喜ぶのはおまえしかおらぬ。火急だぞ」


 とだけ、命じた。

 その話を聞いた王子は、もちろん、その場に居たわけだが。


「マグヌス、奴(マグヌム)は人使いが荒いだけで決して有能ではない。甘えさせるのもいいかげんにしたらどうか」