身体を治癒させて、泉の水をまとって天に舞い散り、その一瞬、国中から二重の虹が空にかかるのが見えた。

 あれは竜の化身だ、との噂で持ちきりになった。

 マグヌスとマグヌムが同時に空を駆けたのだ。虹はそれの名残。二つの虹は、ひとつ、太陽に近い方によりくっきりと出る主虹(しゅにじ)に、副虹(ふくにじ)が色の重なりが逆になっているところや、副虹の方が陰が薄く、短い処を見ると、いったいどちらがどちらなのやら、考え込んでしまう。


「いって、しまうのだな。二人して、私を置いて」
 王子がだれにともなく、空を見上げて言った。