竜神は黙った。


「好きにするが良い」


 竜神は再び身体を癒そうと煙の中へ消えた。


「この剣は置いてゆきますね、竜の王様。わたくし達にはやらなければならないことがあるの。さよなら」


 かえってきたのは派手な水音だけだった。


「クリスチーネ、ありがたいけど、あなたとはここまでだわ。竜神様のお役に立ってあげて。あなた、竜神様を癒して差し上げたいのでしょ」


『えーっ、そりゃそうだけど……王子にならともかく、なーんであんたにそんなこと、言われなきゃいけないのさ!』