「モーモオー」 と、歓喜に満ちた声がした。 『ち、やはり左だったか。いや、彼女が罠にかかったとも限らない。引き返すか』 そうおもったが、道は閉ざされてしまっていた。もう、この城から抜け出す見込みもない。 『やっぱり、彼女には運がついてるよ……神様みたいな』 そしてグスっと鼻をすすった。 『ヘッ、一応俺だってカミサマの端くれよオ。こんなところでくじけてたまっかよ!』 (王子を助けるんだ。選んだ道は違っても、俺も、全力を使い果たしてもそこへたどり着いて見せるからな)