風は命の道しるべ。

 りん!

 と、鳴ったベルの音。

 さわやかな風が吹く。

 ミノタウロスが嫌う、風が吹く。

 ざわざわ、ざわざわ。

 なぜか、思い出さねばならない気がしたようにそわそわと雄牛が振り返ると、巨木に両手首を戒められて吊されているのは絶世の美女。