しばらくして、白い服を着ている偉そうな大人たちは部屋から出て行った。


 そして、それに続き莢の両親たちも退出して行く。

 今日はクリスマスなのに、おとうさんとおかあさんはどうしてプレゼントをあげないんだろう。
 日本中の人たちの大部分が嬉しいものをもらえるのに、莢が唯一もらえたものが、嬉しくないものだなんて、ひどすぎる。


 大人たちが部屋に入ってきてから出ていくまでの短い時間、莢は一言も言葉をもらさなかった。


 静かになったこの部屋は、莢の息づかいとどこからか聞こえてくる微かなクリスマスソングしか聞こえない。