そんな純を見ていて、莢はおかしなことに気づき、安堵感より、不安感で胸中が埋め尽くされる。

「私は助かったのに、どうして今意識がないの? 私はどうして身体から抜け出してしまったの?」

 浮かんだ疑問をそのまま言葉にする。
 するとその瞬間、純の身体がびくっと跳ねる。そして、みるみる顔が青ざめていく。
 心配になった莢は純の様子を見続ける。しかし、いつも莢が見つめれば目線を合わせてくれる純の目は、どこともない所を見つめていた。