「あと、一ヶ月も生きられないって宣告されたのが、一年前の今日……」

「でも私の身体は、こうやって眠りながら生きてる」

 莢は、ぎゅっと強く手を握りしめる。

「うん……そうだね。莢は生きてる」

 張りつめた莢の声に純は、微笑み――悲壮感を漂わせてはいたが――ながら、頷く。

「助からない病というのは、病院側の間違いだったんだ」

「え……」

 莢は一気に拍子抜けした。今まで張りつめていた緊張の糸が切れ、安堵感が胸いっぱいにある。
 だが、純は莢が生きているというのに、さっぱりと言っていいほど、喜ばしい表情を見せない。