「悲しそうに……眠っているよね」

 眠っている人を見て純はひっそりと呟く。
 ここは、莢の身体のある部屋である。5階に到着した途端、純は早足でいくつもの部屋を通り越し、この部屋へと莢を導いた。
 クリスマスであるのにも関わらず、沢山の見舞い客とすれ違う。しかし、この部屋には莢の身体の他に、誰も、いなかった。

「私は何が原因で入院しているの?」

 莢は純の言ったとおり、悲しそうな表情で眠っている自分を見つめながら問う。そんなことも忘れているなんて、と自分に軽い失望を感じながら。



「莢は……助からない病に冒されていたんだ」


 少し間が空き、俯きながら、僕には難しくて理解できない病気だから詳しくは説明できない、と付け足す。