肌に突き刺さるように鋭く、強い寒風が吹く十二月。
 今日の天気はくもり。空を見上げると、今にも雪が舞い降りてきそうな、どんよりとした色をしている。
 昨日降った雪の名残で、道の全体が白く覆われている。
 道といっても、そんなに広いものではなく、普通の車が一台通れる程度である。
 莢は歩きながら、紺色のコートの袖から出ているかじかんだ手にはぁっと息をかける。そのコートは、制服である灰色のプリーツスカートより少し短く、スカートで隠れていない部分から靴下までの部分は真っ赤になっている。
 寒さの為か、足早に目的地へと歩を進める。
 直線だった細い道の突き当たりを右に曲がり、更に細くなった道をまっすぐに行く。するとコンクリート塀だったのが、いつの間にか木立に変わる。林立する木々の合間を進むと、そこへとたどり着く。



 莢(サヤ)の、この世で一番好きな場所。