小道を抜けて大通りに出る。
良くも悪くも、都会というかんじのこの通り。


私たちが通っていた大学に通じる道。


毎日のように一緒に帰ったり、同じ授業をとってみたり、友達を交えて遊びに行ったり…


大学生は十分に大人だと思っていたけど、あのときの純粋さを思い出したら、その若さに気が遠くなるような気がした。


「…おい!若菜!」


名前を呼ばれて後ろを振り向いたところで、自分が立ち止まっていたことに気づいた。


そこにいたのは少し怒ったような顔をする元彼。
この通りを背景に彼を見つめてしまったら、胸が締め付けられて息苦しくなる。


そして次の瞬間、彼の表情がなぜか怒りから困惑にかわった。