彼のグラスが空になりそうなことを確認して、一口残ったカクテルを飲み干した。

さっきよりレモンとジンの苦味がきになる。

これ以上一緒にいてもどうしたらいいのかわからなくなりそうだったので、喉の熱が少し落ち着いたところで口を開いた。


「…私そろそろ行くね。
恵司も引越しとかで忙しいだろうし。久々に会えて良かった。
転勤先でも頑張って」


横目で彼に微笑んで席を立つ。


「ちょっと…待って」


「そっちから誘ってくれたんだから今日はご馳走になりまーす。
それじゃあ、またね」


彼の言葉も聞かずに後手でさよならをしててバーのドアを開いた。


再び冷たい風に包まれて、鼻がツンとした。