「ありがと。でも昔の恥ずかしい話はもうやめよ。
別れた以上、恵司にしばられたくないし、恵司も私のことなんて考えなくていいよ。
ていうか、なんで今更会おうなんて言ったの?
もうすぐ引っ越すなら尚更意味わかんないんですけど」
照れた時に口調がきつくなること、まだ彼は覚えているのだろうか。
「CDを見つけて若菜に会いたくなったから。
…ていうのは嘘で、ずーっと若菜に謝りたかったことがあったから。時効にしてもらうにしても、一回直接伝えたいなって思ってたんだ。だからこれがちゃんと会えるラストチャンスに等しいのかなって思ったら、メールしてた。
CDは前から預かりっぱなしなのはわかってたんだけど、この時のために返さずに取っておいた」
さっきから恵司の言うことに全くついていけない。

