「久々に会ったところで、恵司も恵司で相変わらずね。
私に対するいじり方、1ミリも変わってない」
彼のことを呼び捨てで呼ぶのは気が引けたが、相手に合わせてそうした。
「クールな若菜をいじれるの、俺の特権だったからね。
というか、若菜って基本完璧主義で突っ込みどころないからそこぐらいしかいじれないだけなんだけどさ」
付き合う前から思っていたけど、この人は本当に人の心に入り込むのがうますぎる。
今日だって1年半ぶりに会ったことすら忘れさせるくらい、以前と何も変わらずに接してくるんだから。
人に対して心を開きにくい私だけど、彼の好意の表し方は嫌味がなさすぎてお手上げで…素直に付き合おうって思えたんだ。

