アレキサンドラの懸念するような声音に、ようやく薄暗さに慣れてきた目が、己の変化をはっきりと目撃する。


「親友よ、これから試練が待っている。ついて来てくれるな」


 彼女ははっきりと答えた。


「お心のままに」


 王子は自らのおぞましい姿に嫌悪を抱いた。


「怯えないで、王子」


 アレキサンドラが後ろから抱きしめた。しかし、常と違って剛毛の感触に驚き、手を引っ込めそうになった。


「マグヌムだとて、苦しんだはず。我々が負けていられますか」
 
 王子は背中のぬくもりを感じて、切なげに目をつぶった。