「どうして、ここにいるんだ! マ、ぐっ」

 サフィールは名を呼ぼうとして口を閉ざした。

 どうしてかその名を呼ぶことが叶わない。


「暗殺されたこの竜もどきを、まだ何か用があってのことなのか」

 王者の直々に下した言葉に亡者たちがおののいた。なにか善くないことが起ころうとしている……全員、そう思った。


「王直々にお言葉を発せられるのは何年ぶりであろうか、おまえ達もう、生きて帰れると思うなよ」


 王者の傍らに控えていた鰐(わに)口がそう唱えた。