~天に背いて~<~天に送る風~第二部>



「んん、だがいささか背伸びをしすぎじゃないかい? ほら、こうしてみても城のてっぺんが見えない」


「弱りましたね」


「それに、こんな常夜の国で、危険もあるというのに、あんなに懸命に輝いて……いじらしいとは思わないか」


 王子の視線の先を見て、アレキサンドラはほ、と吐息をついた。


「あなたの御心のままに……」


 ふわりふわりと、光は飛んで、二人がやってくるのを待っていた。

 森は遠くからでも聞こえるほど大きくざわめいて、半透明の枝葉を揺らしていた。


『ここは禍つ森。立ち入っては駄目よ。オカエリ、おかえり』