彼女は一瞬、表情を無くし、急激に光を放ち始めた。もうそこにはだだっこみたいな小妖精はいなかった。
「あちらをごらんなさい。葉の茂る白い森……太古の生き物たちの棲まう場所。そこに、旅に役立つ物が眠っています」
二人には彼女が一気に女神に昇格したかのように見えた。まさに神がかった仕草で、ゆっくりと空をたゆとう。
光が、黄泉の空にふわふわと神秘的に舞った。
その先に何があるというのか。
確かに彼女の光に照らされて白くぼうっとした物は見える。二人は魅入られて動けなかった。まずは急がば回れ、なのかもしれない。
「焦ってばかりいても仕方がない。彼女の助言、ありがたく受けようじゃないか」
「でも、もう城は目の前なんですよ、王子」



