そのときだ。 またあの小さな叫びがした。王子は今度こそ確信を持ってアレキサンドラを見た。 「聞こえているか」 「はい」 二人は一刻も早く城内に向かうべきだったのだ。ところがすでに通り過ぎたと思ってつい、後を振り返ってしまった。 ズーン! 石積みの堀の頭上からカエルの主が現れた! 大きめの、とは言ったものの、その姿はひとの子どもぐらいは丸呑みにしてしまいそうな、控えめに言って巨大な大ウシガエルだった。