「黙った方が良い。危なげなのがこっちを見てる」
「ダイジョブ、情けなくも能のない奴ら、主に嫌われて人間喰うの禁じられてる」
「育たないようにか? それともこれ以上増えないようにか?」
「リョウホウね。さあ、着いた」
二人は息を飲んだ。
間近で見る城の偉容にだ。
アレキサンドラはあまりの寒さに息を白くさせながら、両手を頬に当てて身を縮めていた。
「ここに、マグヌムの、竜の魂が?」
「行くしかない。いくしかないんだ」
王子、彼は自分に言い聞かせるように言った。
自分の心と怖じけそうな、なけなしの勇気にそう、呼びかけた。
「ちなみにお堀の中では寄り道しないが良いよ! 振り返ると大きめのウシガエルが獲物と思って寄ってくるからネ!」