~天に背いて~<~天に送る風~第二部>



「王子、門の上の派手な飾り文字の碑銘を見てくださいませ」


「神聖文字なら読めないぞ。ここには辞書もないんだからな。しかしルーン文字くらいなら」


「そうでなく……数カ国語で碑文が書かれております。所々……この門をくぐる者……」


「この門をくぐる者、一切の希望を捨てよ、か」


「文献通りでございますね」


「ああ、そのようだ」


 この門の奥に、どんな悪夢が潜んでいるのか、二人はまだ知らなかった。

 だが、探しに探した物なのである。

 結局はリリアとマグヌスに頼ることとなってしまったが、ここで引き下がるわけには行かなかった。