「王子、門の上の派手な飾り文字の碑銘を見てくださいませ」
「神聖文字なら読めないぞ。ここには辞書もないんだからな。しかしルーン文字くらいなら」
「そうでなく……数カ国語で碑文が書かれております。所々……この門をくぐる者……」
「この門をくぐる者、一切の希望を捨てよ、か」
「文献通りでございますね」
「ああ、そのようだ」
この門の奥に、どんな悪夢が潜んでいるのか、二人はまだ知らなかった。
だが、探しに探した物なのである。
結局はリリアとマグヌスに頼ることとなってしまったが、ここで引き下がるわけには行かなかった。



