~天に背いて~<~天に送る風~第二部>


 二人が飛び込んだ後、門は閉ざされ、だれにも見えぬ時空のはざまで迂遠な望みを口にした。

 ウロボロスの口から入って、その口が自分の尾を噛むまで二人の呼吸は届かなかった。

 二人の身体は岸にあがった。

 二人とも青ざめて、早い内に気絶したのであろう、あまり水は飲んでいなかった。だが魂だけは冥府を行く道を見つけたようである。

 あふれた泉の上空に浮かぶウロボロスはときおり自分の尾を口から放し、息継ぎをしているようだった。


「アレは……消化不良ではありますまいかな」


「きっと、あの二人なら冥府をかいくぐって目指す者を手に入れますわ」


 リリアとマグヌス、二つの魂がほのかに明滅した。