~天に背いて~<~天に送る風~第二部>


 言いたいことも言えない、もしくは相手の言っていることの意味がわからない、というのは王子として、その妻として大きな欠点となる。


(あのリックがわかってておちょくっているとも思えないしなあ)

 当たり前である。

 でなければ進んで危険のさなかへともに、身を投じるまねなどすまい。


(まあ、今までのように自由には生きられないことになるが、私も例外ではないからなあ)

 王子は思った。

 この冥府への門からマグヌムを引きずりあげた後には、もう一度、彼女の気持ちを確かめてみよう、と、それは微かな希望、とも言えるべきものだった。