言いたいことも言えない、もしくは相手の言っていることの意味がわからない、というのは王子として、その妻として大きな欠点となる。
(あのリックがわかってておちょくっているとも思えないしなあ)
当たり前である。
でなければ進んで危険のさなかへともに、身を投じるまねなどすまい。
(まあ、今までのように自由には生きられないことになるが、私も例外ではないからなあ)
王子は思った。
この冥府への門からマグヌムを引きずりあげた後には、もう一度、彼女の気持ちを確かめてみよう、と、それは微かな希望、とも言えるべきものだった。



