「これがなければ、君はいつも会う友人のように、私に接していたわけだな」


 王子はもう一度残念だ、と額の印をこつこつと指先でつついた。


「きょ、恐悦至極、で、ございます」


 慌ててポットをテーブルに置き、直立不動の姿勢を崩さず、反り返らんばかりに胸を張った。


「それだ、今は文句を言うところだった。うぬぼれるな、ってな」


 へろっと笑うので、てっきり逆の方向へ性格が反転したのかと思った。


「着脱可能だといいですね、そのアタマに生えた羽根」


「イヤミか、大成功だな。ムッときた」


 王子は愉快そうに声を立てて笑った。


「正気に戻るときがないと後始末が大変です」